ただいま

「ただいま」
もう静まり返った街に呟く。
ここは僕の“故郷”と呼ぶべき場所だ。
とはいえ、最後に帰ったのは
何年前のことだったかな。

 

全てが嫌だった。
理解されないこと。
強制されること。
主張すること。

何も言わずに飛び出して、
何も持たずに知らない街へ。
新天地は、桃源郷とはいかなかった。

がむしゃらに生きる中で、
大切なものもたくさん失った。
“今の自分なら、
もっと上手くやれたのに”
そんな風に考えられるのは、
今だからだ。
張り詰めた空気は
僕を追い詰めた。

 

息を抜きたくて向かったのは、
死ぬほど嫌で飛び出した街。

夜中の故郷は、
静かに僕を受け入れてくれた。
今ならわかることは、たくさんある。

帰る場所があるから、
旅立てるんだ。
たまにはゆっくりしよう。